雨の日に現れる“川”のある庭。自然と暮らす外構デザイン【芦屋市 L006】
2026年4月20日
「価格と仕上がりが見合わない」から始まったご相談
芦屋の落ち着いた街並みの中で、新しい暮らしをスタートされるお客様からご相談をいただきました。きっかけは「ハウスメーカーの外構がどうもしっくりこない」という違和感。価格に対してデザインや仕上がりの納得感が持てず、「せっかくの家だからこそ、外構もきちんとこだわりたい」と感じていらっしゃるように見受けられました。お話を伺う中で、細部まで丁寧に仕上げたいというお気持ちが伝わってきました。だからこそ、単なる見た目ではなく、暮らしに寄り添う外構をご提案したいと強く思いました。
自然と共に暮らすための設計条件
今回の敷地は、周囲に豊かな自然が残る恵まれた環境。その魅力を活かしながらも、いくつかの現実的な課題がありました。例えば、雨樋がない建物仕様により、軒先から直接落ちる雨水への対処。さらに、2台分のカーポート動線、浴室からの視線対策、菜園スペースの確保、そしてクローズド外構としての安心感。加えて、既存の石積みを活かしたいというご要望や、隣地との境界にある樹木を残したいという繊細な配慮もありました。一つひとつは小さな要望ですが、すべてを丁寧に拾い上げることで、その土地にしかない外構が生まれます。

■Before→After


一度はお断りいただいたご縁
実は今回、一度は他社様で進められる流れとなり、お断りをいただいていました。しかし、その後「やりとりがスムーズに進まない」とのお悩みから、改めてお声がけをいただくことに。外構工事は完成形だけでなく、打ち合わせの時間そのものも大切なプロセスです。ご不安や疑問をそのままにしないこと、細かなニュアンスまで共有すること。それが最終的な満足度に大きく関わります。再びご相談いただけたことは、私たちにとっても大きな信頼の証でした。
雨の日だけで終わらせない「流れ」のデザイン
当初のプランでは、軒先から落ちる雨水が地面に流れ、小さな“川”のように見える演出がありました。ただ、それは雨の日だけの特別な景色。そこで職人の発想から生まれたのが、「水道をつなぎ、好きなときに水を流せる仕組み」です。晴れた日でも、水の音と流れを楽しめる庭へ。まるで山あいの小川のように、日常の中に自然のリズムが生まれました。こうした一歩踏み込んだ工夫が、ただの外構を“記憶に残る空間”へと変えていきます。

■Before→After


コストを抑えながら、価値は高める工夫
ご予算のバランスも重要なポイントでした。そこで、素材の選び方や施工方法を工夫することで、コストを抑えながらも質の高い仕上がりを実現しています。階段部分には色がまばらの中古の自然石を用い、丁寧に組み上げることで空間に一体感を持たせました。新しいものだけでつくるのではなく、「そこにある風景になじむ素材を選ぶ」。結果として、周囲の自然や既存の石積みとも調和し、時間が経つほど味わいが増すデザインに仕上がりました。

■Before→After


ご家族の暮らしに寄り添う細やかな配慮
ご主人様は宝塚のご出身で、自然の中で育ち、ご自身でも木の剪定をされるほど植物に親しみのある方。一方で、普段は大阪の中心部で暮らす都会的な生活も大切にされています。その二つの暮らしをつなぐ場として、このお庭には「手をかける楽しさ」と「手間をかけすぎない快適さ」の両立が求められました。芝生は管理のしやすい仕様にし、菜園スペースは日常に取り入れやすい位置に配置。

雨に濡れずに帰る安心感と、閉じた中の開放感
2台用のカーポートから玄関まで、雨に濡れずに移動できる動線は、ご家族の日常に確かな安心をもたらします。また、クローズド外構としてのプライバシーを確保しながらも、圧迫感を感じさせない抜け感のあるデザインに仕上げました。浴室の目隠しも、ただ隠すのではなく、光と風を取り込む工夫を施しています。外からは守られ、内側では開かれている。このバランスが、上質な住まいには欠かせません。

■Before→After


土地のポテンシャルを引き出すトータルコーディネート
今回の外構は、単なる設備の集合ではなく、「その土地が本来持っている魅力をどう引き出すか」に向き合ったプロジェクトでした。石積み、樹木、水の流れ、動線、視線、すべてがつながり、一つの風景として完成しています。フィーリングガーデン10の強みは、こうした全体設計にあります。部分最適ではなく、暮らし全体を見据えた提案ができること。それが最終的に、お客様の「お願いしてよかった」という言葉につながるのだと感じています。

最後に
完成したお庭で、水の流れを眺めながら穏やかに過ごされるご家族の姿が、とても印象的でした。都会と自然、二つの暮らしをつなぐ場所として、この外構がこれからも長く愛されていくことを願っています。