調和の庭・トータルデザイン研究所

海風と緑に迎えられる、帰り道のある暮らし【神戸市垂水区 G026】

設計から一言

海の気配を感じる街で、緑の物語がはじまる
神戸市垂水区の穏やかな住宅地に佇むお住まい。現地に立つと、どこか海の気配が漂い、風がやわらかく抜けていきます。今回ご相談いただいたのは「駐車場まわりを、もっと緑豊かにしたい」という想いでした。毎日車で出入りする場所だからこそ、ただの機能ではなく、心がほどけるような景色にしたい——。私たちはまず、この場所にどんな“余白”があるのかを丁寧に読み取り、建物の佇まいと調和する緑のあり方を思い描くところからスタートしました。何もなかった空間に、やさしく息づく緑を重ねていく。その最初の一歩は、とても静かで、けれど確かな高揚感に包まれていました。

 

日常に溶け込む、さりげない上質さを添えて
駐車場という場所に、あえて“特別感”をつくり込みすぎないこと。目指したのは、ふとした瞬間に心地よさを感じる、さりげない上質さです。門柱まわりには視線をやわらかく受け止める植栽を配し、車を停める動線の中で自然と緑が目に入るように計画しました。あくまで主役は暮らし、その背景として静かに寄り添う緑。主張しすぎず、それでいて確かな存在感を感じられるバランスを大切にしています。日々の何気ない動きの中で、少しだけ気持ちが整う——そんな空間づくりを意識しました。

パース
施工後

 

壁面緑化で広がる、立体的なやすらぎ
今回の外構で特に印象的だったのが、壁面を活かした緑の演出です。限られたスペースでも、視線の高さに緑を取り入れることで、空間は一気に豊かになります。壁面緑化は、単に植物を増やすだけでなく、暮らしの中に“奥行き”と“静けさ”をもたらしてくれます。季節ごとに少しずつ表情を変える葉の色や揺らぎは、まるで絵画のように日常に寄り添ってくれる存在です。外から帰ってきたとき、ふと視界に入る緑に心がほどける——そんなささやかな贅沢を感じていただけるよう、配置には細やかな配慮を重ねました。平面だけでなく、空間全体で緑を楽しむ。そんな新しい外構のかたちが、ここに生まれました。

パース

 

施工後

暮らしに寄り添い、時間とともに育つ庭へ
今回つくったのは、完成された“形”ではなく、これから時間とともに育っていく“風景”です。季節が巡り、植物が少しずつ成長し、暮らしの中に自然と溶け込んでいく。その変化さえも楽しみながら、この場所がより愛着のある空間になっていくことを願っています。これからも、お客様の毎日にそっと寄り添う庭であり続けますように。