使えていなかった法面を、家族が集まる庭へ【西宮市 Y002】
2026年10月16日
西宮市の高台に建つ、こちらのお住まい。ご相談いただいたきっかけは、お庭の大きな法面でした。



「勾配がきつくて、管理するのが大変なんです」
「せっかくの庭なのに、ほとんど使えていません」
特に奥様は、法面に降りることもほとんどなく、雑草が生い茂った景色を見るたびに、残念な気持ちになっていたそうです。
一方で、ご家族は植物がお好き。お庭にはソテツやヤシの木など、ご自身で植えられた植物もありました。
そこで私たちが考えたのは、単に「法面をきれいにする」ことではありません。
18歳のお兄ちゃん、17歳のお嬢様、そしてご夫婦と2匹の愛犬。家族みんなが庭に出たくなり、犬たちが自由に走り回れる。そんな「使える庭」に変えていくことでした。
眺めるだけだった場所が、歩きたくなる。
歩くだけだった場所が、過ごしたくなる。
そんな庭を目指して、計画が始まりました。
「ロックガーデン」から芝生のお庭へ
最初に私たちがご提案したのは、法面を活かしたロックガーデンでした。
斜面に石や植物を組み合わせれば、雑草を抑えながら、立体感のある美しい庭にできる。そう考えたからです。
ところが、お話を伺ううちに、お客様が岩に対してあまり良い印象をお持ちではないことが分かりました。

新築当初のお庭には、たくさんの岩が残っていました。ご主人様と息子様で運び出したり、法尻の見えにくい場所へ移動させたりしたほどです。
特に奥様にとっては、「できればもう岩は見たくない」というお気持ちがありました。
そこで、私たちは最初の案に固執せず、法面を芝生で覆う方向へ計画を変更しました。
お客様にとって美しい庭とは、私たちが考える「美しい庭」と必ずしも同じではありません。
だからこそ、暮らし方や過去の思い出まで丁寧にお聞きしながら、一緒に答えを探すことを大切にしています。
今回の芝生の法面は、以前の「見たくない場所」を、これからは「眺めたい場所」に変えていくための、大切な一歩となりました。
愛犬が走り、家族が歩きたくなる回遊空間
今回のお庭づくりで、もう一つ大切だったのが「犬たちが自由に走り回れること」でした。
2匹の愛犬がいるご家庭だからこそ、庭をただ眺めるだけではなく、家族と犬が一緒に楽しめる場所にしたい。
そこで、庭の中を歩いて回れる動線を意識して計画しました。


以前は、法面の勾配がきつく、気軽に歩ける場所ではありませんでした。それが今回、階段や芝生のエリアをつなげることで、庭全体に動きが生まれました。
「今日はちょっと庭に出てみようかな」
そんな気持ちになれることが、今回の庭づくりではとても重要でした。
また、植栽についても、すべてを無くしてしまうのではなく、お客様が大切にされている植物を活かしながら、管理できる範囲で新しい植栽をご提案。
ソテツやヤシの木がつくる南国らしい雰囲気に、新しい植物や芝生が加わり、以前よりも庭全体がひとつにつながったような印象になりました。
将来的には、植物や水辺の生き物を楽しめるビオトープにも興味をお持ちだったため、これから少しずつ庭を育てていく楽しみも残しています。
美しさだけではなく、安全に歩ける庭へ
今回の工事で、私たちが特に慎重に考えたのが「安全性」でした。
法面は勾配がきつく、雨が降れば土が流れる可能性もあります。見た目だけを整えても、安心して使えなければ、本当に使える庭にはなりません。
そこで法肩には、土が流れにくくなるよう深めの土留め処理を行いました。



さらに、階段にはすべて手すりを設置。蹴上げもできるだけ高くならないよう、段数を増やして、一段一段を無理なく上り下りできるようにしました。

庭は、毎日使う場所だからこそ、「きれい」であることと同じくらい「安心できる」ことが大切です。
そして、今回のお客様が特に気にされていたのが、雑草の管理でした。
せっかくの大きなお庭でも、草取りに追われてしまえば、庭に出ること自体が負担になってしまいます。
だからこそ、管理のしやすさもデザインの一部として考えました。
美しい植栽を楽しみながら、できるだけ手間を減らす。
見た目の美しさだけではなく、10年後、20年後も気持ちよく使える庭を目指しました。

工事の裏側にあった、もう一つの難題
今回の工事には、庭のデザインとは別に、もう一つ大きな課題がありました。
法面の工事には重機の力が必要でした。しかし、お隣は空地。所有者の方とは連絡が取れない状態だったため、重機を入れるための調整が簡単には進みません。
そこで、お客様にもご協力いただき、所有者の方へお手紙を送っていただくことになりました。

庭づくりというと、完成した美しい景色に目が行きます。
けれど、その景色が生まれるまでには、図面には書かれていないさまざまな調整があります。
お客様と私たちだけではなく、周囲の環境や近隣の方々との関係まで考えながら、一つひとつ工事を進めていく。
今回も、そうした積み重ねがあったからこそ、大きな法面を安全に整え、新しい庭へと変えていくことができました。
そして工事が終わったとき、そこにあったのは、以前の「見るのも嫌だった場所」ではありませんでした。
芝生が広がり、植栽が整い、家族と愛犬が歩ける場所へ。
庭は、手をかけた分だけ、少しずつ暮らしに近づいていきます。
「庭がきれいになって嬉しい」その一言が、私たちの答え
工事が完成し、お客様にお庭をご覧いただいたとき、特に喜んでいただけたのが「お庭がきれいになったこと」でした。
そしてもう一つ、嬉しいお言葉をいただきました。
「職人さんが丁寧に仕事をしてくれた」
外構工事は、営業が話を聞き、設計が形を考え、職人が現場で一つひとつつくっていきます。
どれだけ良いデザインを考えても、現場でそれを丁寧に形にできなければ、美しい庭にはなりません。
今回の工事では、営業・設計・職人がそれぞれの役割を果たしながら、お客様の暮らしに合わせて庭全体をコーディネートしました。



以前は、急な法面と雑草に悩まされ、ほとんど使われていなかった場所。
それが今では、芝生の上を愛犬が走り、階段を通って庭を回遊でき、植物を眺めながら過ごせる場所になりました。
私たちが大切にしているのは、単に外構をきれいにつくることではありません。
その土地に「こんな使い方があったんだ」と思っていただける、新しい暮らし方までご提案すること。
豊富な植栽と、営業・設計・職人の連携。
その力をひとつにして、今回のお庭をつくることができました。
これから季節が巡るたびに植物が育ち、愛犬たちが庭を走り、ご家族の思い出が少しずつ増えていく。
完成した瞬間が、この庭の完成ではありません。
ここから、ご家族と一緒に庭が育っていくのだと思います。




