調和の庭・トータルデザイン研究所

静けさに包まれる、芦屋の平屋と外構【芦屋市 L006】

デザインから一言

芦屋の穏やかな住宅地。遠くの山並みと大きな空が目に飛び込んできます。その景色をやさしく受け止めるように佇む、屋根の大きな平屋。私たちはまず、この場所がもともと持っている“静けさ”と“余白”を壊さないことを大切にしました。長い年月をかけて育った大木や、道沿いに残る石積み。そのどれもが、この土地の記憶です。その土地に“なじませる”こと。そこに住まうご家族が、日々を安心して過ごしながら、ふとした瞬間に豊かさを感じられる場所にしたい。そんな想いから、この外構は始まりました。

■木漏れ日を歩く、やさしいアプローチ

道路から玄関へと続く道は、ゆっくりと歩くスロープの小道にしました。朝のやわらかな光、風に揺れる葉の音、足元に玄関まで続く自然石。そのひとつひとつが、家へ帰る時間を特別なものに変えてくれます。横には大きく張り出した屋根の下に階段を添え、カーポートから雨に濡れることなく玄関へとつながる動線も確保。機能と情緒、そのどちらも大切にしています。まっすぐではなく、少しゆるやかに揺れるラインが、空間にやさしい表情を生み出し、訪れる人の気持ちまでほどいてくれるようなアプローチになりました。
デザインポイント:スロープ×階段の共存設計と、曲線でつくる“余裕ある動線”。

■雨さえも景色になる、せせらぎの庭

このお庭では、雨もまた“楽しむもの”として設計しました。大きく張り出した樋を設けない屋根。落ちてくる雨だれをそのまま地へ。そこに小さな工夫を加え、水が流れるようにデザインすることで、まるで沢のようなせせらぎを生み出しています。ぽたぽたと落ちる雫の音、ゆるやかに流れる水の気配。それは日常の中にふと現れる、小さな癒しの時間です。歩く場所にも自然石を用い、視覚だけでなく、音や感触でも楽しめる空間に。重たくなりすぎず、どこか軽やかで気品のある佇まいを意識しました。自然とともに暮らすとは、こういうことかもしれません。
デザインポイント:雨水を活かした“せせらぎ設計”と五感で感じる庭づくり。

■建築と調和する、上質で軽やかな外構

外構に使う素材は、すべて建物との調和を意識して選びました。色味を揃え、主張しすぎず、それでいてしっかりと存在感があるもの。広がりのある土間はゆったりとした印象をつくり、風がすっと抜けていくような軽やかさを演出しています。シャープなラインの中に、ほんの少し曲線を取り入れることで、硬くなりすぎないやわらかさをプラス。アプローチ横の石積みは、自然の緑と呼応しながら、石そのものが持つ力強さで空間に安心感を与えます。見た目の美しさだけでなく、“心地よさ”を積み重ねた外構デザインです。
デザインポイント:建築との色調統一+直線と曲線のバランス設計。

■バスルームから始まる、夜の癒し時間

一日の終わりに訪れる、もうひとつの贅沢。それはバスルームからの景色です。窓の外には、格子状のすりガラスフェンスを設け、外からの視線をやわらかく遮りながら、光はしっかりと取り込みます。その手前には植栽をしつらえ、夜にはライトアップ。湯船に浸かりながら、ぼんやりと浮かぶ植物の影とやさしい光に包まれる時間は、まるで小さなリゾートのよう。外と内がゆるやかにつながり、心がほどけていく感覚。日常の中にある、静かなご褒美のような空間です。
デザインポイント:視線を遮りながら光を取り込む“抜け感のある目隠し”と夜間演出。

■この場所だからこそ生まれた、たった一つの外構

私たちは、どの現場でも同じものはつくりません。その土地の空気、ご家族の想い、これからの暮らし方。そのすべてを重ね合わせて、はじめて形になります。この芦屋の外構もまた、この場所だからこそ生まれたものです。静けさに包まれながら、自然とともに過ごす日々。家にいる時間が、いちばん心地いいと思える暮らし。そんな未来を描きながら、一つひとつ丁寧に仕上げました。もし今、「自分たちらしい庭ってなんだろう」と感じているなら、ぜひ一度お話を聞かせてください。きっと、まだ気づいていない“豊かさ”が見つかるはずです。