調和の庭・トータルデザイン研究所

白と緑に包まれて、暮らしが育つ庭のはじまり【西宮市 N014】

設計から一言


まっさらな土地に、最初の一筆を描くように


新築のお住まいで、外構は何もない状態からのスタートでした。まだ色のついていないキャンバスのような空間に、どんな景色を描いていくか。私たちはまず、建物の佇まいと周囲の空気感をじっくり読み取りながら、「この家に一番似合う庭とは何か」を丁寧に探るところから始めました。すべてを自由に決められるからこそ、ほんの少しの選択が全体の印象を大きく左右します。直線を活かすのか、やわらかさを足すのか。お客様との会話を重ねる中で見えてきたのは、“上質だけど気取らない洋風の庭”。その方向性が決まった瞬間、空間の骨格がすっと見えてきたのを覚えています。


白が映えるのは、緑の重なりがあるからこそ


白いアメリカンフェンスは、それだけでも十分に魅力的な存在です。ただ、本当にその良さを引き出すには、周りの景色との関係がとても大切になります。そこで私たちは、フェンスを主役にしながらも、その前に広がる花壇の“緑の層”にこだわりました。高さや質感の異なる植物を重ねることで、単調にならない奥行きを生み出しています。手前にはやさしく広がる低い草花、奥には少し高さのある植栽を配置し、自然なリズムをつくる。そうすることで、白がよりやわらかく、より美しく見えてくるのです。朝露に濡れた葉が光る瞬間や、夕暮れに影が重なる時間まで想像しながら、季節とともに育つ風景を描きました。

パース
施工後


重なり合う緑がつくる「奥行き」という贅沢


この花壇の魅力は、一つひとつの植物ではなく、その“重なり方”にあります。手前の低く広がる白い小花、やわらかなシルバーリーフ、その奥にリズムよく配置された中低木。そしてさらに後ろには、フェンスと呼応するように立ち上がる樹木たち。この層の重なりが、空間に奥行きと品のある豊かさを生み出しています。見た目の華やかさだけでなく、「ずっと見ていたくなる心地よさ」があるのはこのためです。風が吹くと、それぞれの植物が少しずつ違う動きを見せてくれる。そのさりげない変化が、この庭に“生きている美しさ”を与えています。


ロックガーデンが支える、美しさと安心感


そして今回の大きなポイントが、駐車場まわりに設けたロックガーデンです。もともと高低差のある敷地だったため、土留めとしての機能は欠かせませんでした。ただ、それを単なる構造物として処理するのではなく、「景色の一部として魅せる」ことにこだわりました。大小の自然石を組み合わせ、あえて少しラフに積み上げることで、つくり込みすぎないナチュラルな表情に。そこにグリーンを添えることで、硬くなりがちな駐車場まわりにやわらかさが生まれています。車を停めるたびに目に入るこの景色が、日常に少しの余裕を与えてくれる。機能とデザインがきちんと両立しているからこそ、長く心地よく使っていただける空間になりました。

パース
施工後