調和の庭・トータルデザイン研究所

間口の制限を、美しい暮らしへ変えた外構計画【C028】

設計から一言

■限られた間口の中で、“ゆとり”をどう生み出すか

 

お客様からご相談いただいたのは、2台用カーポートをご希望されているものの、「間口が狭く、設置は難しいかもしれない」というお悩みでした。図面を確認すると、たしかに余裕のある条件ではなく、車をただ並べるだけなら可能でも、毎日の使いやすさまで考えると慎重な設計が必要な現場でした。

外構は、数字だけを合わせれば完成するものではありません。車の出し入れのしやすさ、玄関までの歩きやすさ、そして建物全体の見え方まで整って初めて、“心地いい空間”になります。特に高級感のある住まいほど、窮屈さを感じさせない余白がとても大切です。

そこで今回は、限られたスペースの中でも圧迫感を感じさせないよう、配置や動線を細かく調整しながら計画を進めました。アプローチから玄関ポーチ、裏庭まで全体の流れを意識することで、敷地全体に自然なつながりが生まれています。

パース
施工後

制限のある敷地だからこそ、一つひとつの寸法や見え方に意味があります。完成後は、必要な機能をしっかり確保しながらも、どこかゆったりとした空気が流れる外構に仕上がりました。

 

■浮かぶように見せた、レンガのフローティング階段

 

今回の設計の中でも特に力を入れたのが、レンガを使った玄関ポーチとフローティング階段です。玄関へ向かうアプローチに軽やかな浮遊感を持たせ、蹴込みにはラインライトを設置しました。

シンプルに見えるデザインですが、実際には細かな調整を何度も重ねています。たとえば階段の蹴込み寸法。わずかな違いでも、歩きやすさや見え方は大きく変わります。また、レンガの目地の向きについても、単調にならないよう変化を持たせています。

こうした細部は、派手に目立つ部分ではありません。しかし、違和感のない美しさは、こうした積み重ねから生まれます。足元に視線を落とした時に感じる安心感や、玄関へ向かう時間そのものが少し特別に感じられる空間になりました。

夕方にはレンガの陰影がやわらかく浮かび上がり、カーポートのダウンライトと相まって昼間とはまた違った表情を見せてくれます。

毎日通る場所だからこそ、飽きずに長く心地よく感じられるデザインを大切にしました。

 

■柱のストレスを減らし、駐車しやすさを整えたカーポート

 

カーポートについては、限られた間口の中でも使いやすさを損なわないことを重視しました。2台用カーポートは便利な反面、柱の位置によっては駐車のしづらさや圧迫感につながることがあります。

そこで今回は、柱が邪魔になりにくい後方支持タイプを片側支持として採用し、できる限り視界と動線をすっきり整えました。車の乗り降りや切り返しにも余裕が生まれ、毎日の駐車が自然に行える配置になっています。

また、柱の存在感が抑えられることで、カーポート自体が必要以上に重たく見えず、建物の外観ともきれいに調和しています。屋根が増えているのに圧迫感を感じにくいのは、こうした細かな設計の積み重ねによるものです。

外構は、完成した瞬間だけ美しければいいものではありません。毎日使い続ける中で、少しずつ「使いやすい」「帰ってくると落ち着く」と感じられることが大切です。

今回の現場でも、暮らしに自然になじむ外構の心地よさを改めて感じる施工となりました。